蝉と人間の歯

夏の風物詩である蝉。あの力強い鳴き声と、緑の樹々を飛び交う姿は、多くの人を魅了し、夏の到来を感じます。

当院の近所の広島市安芸区矢野の尾崎神社でも毎年蝉の大合唱を聞くことができます。

しかし、その短命な一生と、地上での儚い存在感は、どこか物悲しさを感じさせもします。

一方、私たち人間の歯は、硬い食物を噛み砕き、消化を助ける重要な役割を担っています。

親知らずを含め32本もの歯がそれぞれ異なる形と役割を持ち、精密な咬合機構を構成していることは、まさに自然の造形の妙技と言えるでしょう。

一見すると、何の関係もないように思える蝉と人間の歯。しかし、実はこの二者には、興味深い共通点が存在します。

  1. 地中での過ごし方

蝉は、成虫になるまでの約7年間を土の中で過ごすと言われています。幼虫時代は、木の根から樹液を吸い上げて成長します。

一方、私たち人間の永久歯も、乳歯から永久歯に生え変わるまでの間、顎の骨の中で約6-8年の間形作られ萌出してきます。

その間、体からの栄養不足が続いたりすると、萌出不全を起こしたり、エナメル形成不全歯を引き起こしたりすることもあります。

また、時にはこれらの原因で歯並びが悪くなったりすることもあります。

  1. 短い地上での活動期間

成虫になった蝉は、地上で過ごす期間はわずか1週間程度です。その短い期間に、交配、産卵、そして死を迎えます。

一方で、私たち人間の歯も、虫歯や歯周病などの疾患にかからなければ、一生涯私たちと共に過ごすことができます。

しかし、適切なケアを怠れば、早々に失われてしまうこともあります。そのため、日々のセルフケアと定期的な歯医者さんでのプロフェッショナルケアが大事とされています。

  1. それぞれの役割

蝉は、樹木にとって重要な役割を担っています。樹液を吸い上げることで、木の成長を助け、生態系のバランスを維持するのに貢献しています。

一方、人間の歯は、食物を消化し、栄養素を吸収するために不可欠な役割を担っています。健康な歯を維持することは、私たちの健康維持にとって非常に重要とされています。例えば歯が1本欠けると、見た目だけでなく、様々な問題を引き起こす可能性があります。特に、前歯が欠けた場合は、見た目が悪くなったり、奥歯が欠けるとものが食べにくかったり、発音にも影響が出る場合があります。、また歯が欠けると、歯並びが悪くなることがあります。歯並びが悪いと、虫歯や歯周病になりやすくなりますますので、歯を大事にする意識を高めていただけたらと思います。

このように、蝉と人間の歯は、一見すると全く異なる存在でありながら、地下での過ごし方、短い地上での活動期間、そしてそれぞれの役割という点において、興味深い共通点を持っています。

自然界には、私たちがまだ知らない多くの不思議や謎が隠されています。今回、蝉と歯の意外な共通点を知ることで、自然に対する興味関心を深めていただければ幸いです。