海でのアクティビティで歯をぶつけたら・・・

 

 これから夏の季節、海で歯をぶつけてしまう事故が増えることがあります。広島県は瀬戸内海に面しているためこうした事故が多発することがあります。もしぶつけてしまった場合は以下のことを参考にして早めに歯科医院を受診してください。

外傷歯とは

 転倒や衝突により強い衝撃を受けると、歯が欠けたり、神経が死んだり、歯が脱落してしまうことがあります。これら偶発的に受傷した歯を外傷歯といいます。欠け方が部分的で軽度な場合は、痛みなどの症状は出にくく、神経(歯髄)や歯周組織への影響も少ないことが多いのですが、欠けた部分から歯髄が感染を起こしたり、あとで歯の変色や歯肉の腫れが生じる可能性もあります。
 また、歯を打ったことで、歯がグラグラになることがあるので、歯の動揺がある場合は、安静にした状態で両脇の歯と固定を図ります。また、ごく稀ですが、歯根の破折や歯槽骨骨折で歯が動揺している場合は、受傷した歯が保存できるかどうかを診断する必要があります。保存が可能と判断された場合は、固定処置を行って様子をみます。歯だけの動揺の場合は1~2週間の固定ですみますが、歯根破折や骨折の場合は少し長めに(2か月程度)固定をします。もし、保存が不可能と診断された場合は、外傷歯は抜歯となり、その後は人工的な歯で補うこととなります。

外傷歯になった場合の対処法

海で外傷歯になった場合、落ち着いて適切な処置を行うことが大切です。以下の手順を参考に、適切な対処を行ってください。また、海での受傷でなくても
交通事故やスポーツ事故でも対象法はほとんど変わりませんのでご参考にして下さい。

1. 出血を止める

まず、ガーゼやハンカチなどで傷口を軽く押さえて、出血を止めます。血が止まらない場合は、最寄りの救急病院または歯科医院を受診してください。

2. 歯を洗浄する

真水で歯を洗浄し、汚れや砂を取り除きます。真水が用意できなければ、海水の塩分が傷口を刺激する可能性がありますが、海水で洗浄する方が望ましいです。

3. 抜けた歯がある場合は保存する

抜けた歯がある場合は、牛乳や生理食塩水に浸して保存してください。乾燥させると歯に付着している歯根膜が死んでしまうため、保存液に浸しておくことが重要です。

用意できない場合は、お口の中に含んだままでも構いません。

4. 痛みがある場合は鎮痛剤を服用する

痛みがある場合は、市販の鎮痛剤を服用してください。ただし、痛み止めは一時的な対症療法であり、根本的な治療は歯科医院で行う必要があります。

5. できるだけ早く歯科医院を受診する

上記の処置を行った後、できるだけ早く歯科医院を受診してください。歯科医が傷口を診査し、必要な治療を行います。

外傷歯の種類と治療法

外傷歯の種類と状態によって、必要な治療法は異なります。以下に、代表的な外傷歯の種類と治療法をご紹介します。

  • 歯冠折損:歯の冠部分が破損した場合。破損した部分の大きさや形によって、削合・修復、被せ物、抜歯などの治療を行います。
  • 歯根折損:歯根部分が破損した場合。破損した部分の程度によって、抜歯、歯根切断術、歯根再植などの治療を行います。
  • 脱臼:歯が完全に抜けてしまった場合。抜けた歯の状態や歯根膜の損傷程度によって、再植、抜歯、義歯などの治療を行います。
  • 歯槽骨骨折:歯を支える歯槽骨が骨折した場合。骨折の程度によって、ワイヤー固定、手術、抜歯などの治療を行います。

まずは、歯の状態を元に戻すことが優先ですが、外傷によっては歯がずれてしまうこともありますので、歯の治療後にワイヤーを使った矯正歯科治療が必要になる事もあります。

外傷歯の治療は、専門的な知識と技術が必要となります。 海で外傷歯になった場合は、上記の処置を行った後、できるだけ早く歯科医院を受診して、適切な治療を受けることが大切です。もし休日でかかりつけ歯科医院が休診である場合、各都道府県の歯科医師会が休日診療を行っていますので、ひとまずはそちらを受診していただくことをお勧めいたします。

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