インフルエンザ流行の今こそ見直したい“鼻呼吸”

―ウイルス予防と矯正治療による改善の可能性―

毎年冬になると流行するインフルエンザ。今年は例年にも増して早い段階から患者数が増え、学校や職場でも体調不良で休む人が目立っています。手洗い・うがい・マスクなど一般的な感染対策が広く知られていますが、実はもうひとつ、私たちが意識すべき「基本の予防法」があります。それが「鼻呼吸」です。
普段当たり前のように行っている呼吸ですが、口呼吸が習慣化している人は少なくありません。口呼吸は感染リスクを上げるだけでなく、歯並びや顔の発育にも影響すると言われています。そこで今回は、鼻呼吸がもつウイルス予防効果と、矯正治療によって鼻呼吸が改善される可能性について、分かりやすくご紹介します。


■ 鼻呼吸がウイルス予防につながる理由

① 鼻は“天然の空気清浄機”

鼻の内部には細かい鼻毛や粘膜、そして粘液を分泌する細胞があり、吸い込んだ空気中のウイルス・細菌・ほこりなどをしっかりキャッチして体内への侵入を防ぎます。鼻呼吸をしている限り、この「フィルター機能」が常に働いてくれるため、ウイルスが直接喉へ届きにくくなります。

② 加湿・加温効果でウイルスが活動しにくい環境に

インフルエンザウイルスは乾燥した冷たい環境を好みます。鼻の粘膜には空気を温め、湿度を上げる機能があるため、喉に到達する空気はウイルスにとって活動しにくい状態に整えられます。一方、口呼吸では冷たい乾燥した空気が直接喉に触れ、粘膜が傷つきやすくなって感染のリスクが高まります。

③ 粘膜免疫IgAを活性化

鼻呼吸は鼻腔内の粘膜免疫(IgA抗体)の働きを高めます。IgAは体表面の粘膜を守る大切な防御システム。侵入してきたウイルスを無力化する役割をもつため、鼻呼吸は免疫機能を十分に活かすためにも重要なのです。


■ 口呼吸が招くデメリット

鼻呼吸の重要性は理解していても、実際には多くの人が無意識のうちに口呼吸をしています。とくに睡眠時は本人が気づきにくく、気が付いたら慢性的に口呼吸になっていた…というケースも少なくありません。

口呼吸が続くことで起こる問題には以下のようなものがあります。

  • 喉が乾燥しやすく、感染症にかかりやすい
  • いびきや睡眠の質の低下
  • 口の中が乾いて虫歯・歯周病リスクが上昇
  • 舌の位置が下がり、歯並びや顎の発育に悪影響
  • 前歯が出やすい、顔つきが面長になるなどの審美的な影響
  • 子どもでは成長期の顔面発育に影響が出る可能性

このように、鼻呼吸ができていない状態は、健康面だけではなく、歯科的・美容的な側面から見てもデメリットが大きいのです。


■ 矯正治療で鼻呼吸が改善されることも

「鼻呼吸ができない=鼻づまり」と考えがちですが、実は口腔内や顎の骨格の問題によって鼻呼吸がしづらくなっているケースもあります。そのため、歯科矯正によって呼吸状態が改善することもあるのです。

① 上顎の拡大(急速拡大装置など)

上顎が狭いと、鼻腔のスペースも狭くなり、空気の通り道が十分に確保できません。成長期の子どもであれば、急速拡大装置を使って上顎を横に広げることで、鼻腔の容積が広がり、鼻呼吸がしやすくなる可能性があります。

② 歯並びの改善で舌の位置が整う

叢生(ガタガタの歯並び)や出っ歯があると、舌の定位置である“上あごの天井(スポット)”に舌が収まりにくくなります。舌が低い位置にあると口が開きやすく口呼吸を誘発しますが、矯正治療で正しい歯列で歯並びが整うと舌の位置が安定し、鼻呼吸に戻りやすくなることがあります。

③ 顎の成長誘導

子どもの場合、成長を利用した矯正治療によって上下の顎のバランスを整えることで、気道スペースが広がり、呼吸の改善につながる例もあります。

ただし、すべての口呼吸が矯正治療だけで改善するわけではありません。アレルギー性鼻炎など耳鼻科的な問題が原因のことも多いため、歯科と耳鼻科が連携して診断・治療を進めることが重要です。


■ 今日からできる鼻呼吸トレーニング

矯正治療が必要な場合もありますが、日常習慣を見直すだけで鼻呼吸がしやすくなることもあります。

  • 姿勢を正す(猫背は呼吸が浅くなり口呼吸を誘発)
  • 意識的に口を閉じ、舌を上顎につける
  • 就寝時は鼻づまり対策(加湿、寝室の空気清浄、鼻テープなど)
  • よく噛む習慣をつける
  • 舌・口周りの筋肉トレーニング(MFT)

これらは今日から取り入れられる簡単なアプローチです。特に近年は、スマートフォンを使用する時間が増え猫背になりやすいので注意が必要です。


■ まとめ

インフルエンザが流行している今だからこそ、日頃の呼吸習慣を見直すことが健康を守る大切な第一歩になります。
鼻呼吸は、ウイルスをブロックし、体を守ってくれる自然の防御システム。口呼吸が習慣化している人は感染リスクが高まるだけでなく、歯並びや顔の発育にも影響します。

さらに、矯正治療によって鼻呼吸が改善するケースもあり、特に成長期の子どもではその効果が期待できることがあります。気になる症状がある方は歯科・矯正歯科、耳鼻科の専門家に相談するのがおすすめです。

インフルエンザ予防のための「手洗い・マスク」に加え、ぜひ“鼻呼吸”というもう一つの習慣を意識してみてください。日々の小さな工夫が、毎日の健康につながります。

もしお子様の歯列弓拡大の矯正治療をご希望であれば、一度当院へご相談ください。

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